ザンギリ ~『頑張りました』は敗者の戯言

おもしろかったです。

→『小さくても勝てます』 さかはらあつし氏著 ダイヤモンド社

新宿に実在する理容室での実話に基づいたストーリー。
ヨドバシカメラの近所、ビジネス街の雑居ビルの地下にあるお店・・・。

読み進めているとお店のロケーションに覚えが…。

今から20年近く前、サラリーマン時代30代前半に3年間新宿のオフィス勤務したことがあるのですが、その頃に行っていた散髪屋???

調べてみたら、その通りでした。

時効なので言いますと、サラリーマン時代、勤務時間内に散髪に行く常習犯でした。
その時の合図は、行き先を書くホワイトボードに行き先欄に「SP」と書いておくこと。「SP」=「散髪」。

内勤で電話対応している女性スタッフにはそのことを伝えてあり、無理に探し回ることをせずその時はそっとしておいてくれたもんでした。月に一回だけのことですからね。(+人徳?!)

行った先の店主のオヤジが社交的でおもしろく、マッサージ等も行き届いていて、髪を切ってサッパリしつつ、リラックスしに行っていました。
店主のオヤジによると、私と同じ会社の営業部長も同じ場所でさぼりに来る常習犯でした。(一度だけ、隣の席で鉢合わせ!)

この本、おそらく、そのオヤジさんの息子さんの奮闘記。

 

理容室「ザンギリ」二代目のオレは、理容組合のコンペでグランドチャンピオンになるほどの腕前を持っているが、店では閑古鳥が鳴いている。
さらに、「10分1000円」の低料金の店の台頭や若者の美容室への移行で、理容業界全体が青息吐息の状態。
理容師の数も激減し、昔ながらの理容室は次々と姿を消している。

そんな状況ではあるが、幼い頃から理容を愛してやまないオレは、なんとか「ザンギリ」を繁盛する理容室にしたい。
だけど、何をどうすればいいのかわからない。

将来への不安に押しつぶされそうになっているそんなオレの前に、ある日、
関西弁でまくしたてる元経営コンサルタントで自称映画監督の役仁立三という男が客として現れる。
一見、胡散臭そうだが、理容業界の現状を分析する洞察力には驚かされる。
そこでオレは、自分の悩みを打ち明けたうえで、調髪料を無料にする代わりに、
理容室を繁盛させるためのアドバイスを頼んだ。

ところが、来店するたびに立三が指示する内容は、業界の常識を覆すような非常識なものばかりで……。

西新宿に実在する理容店を舞台に、経営コンサルタントと理容師が「行列のできる理容室」を作り上げる軌跡を描いた実話に基づくストーリー。

著者に対して大変おこがましくて恐縮ですが、ツタエルが言っていることとほぼ同じ方向の話。
だからとても共感でき、ツタエル以上に深い示唆に富んだ内容にとても勉強になる部分が多いです。

以下、備忘録。

「非合理的に決めた志を、合理的に追いかけた者だけが、志を達成するんや」

「ホンマに成功したいヤツは、どうしたら儲かるかを死ぬ気で考えて、やり方を見つけて、そのやり方を徹底して、最後には成功する」

「その時、その時、『これかな』と思った好きなことを真剣にやってみることは大切だ。それが不思議につながるのが人生だと思う。そうしたら自分にちゃんと返ってくるよ」

「人間、これをやるしかない、と腹を決めて当たればなんとかなる」

「勉強は、教えてもらったことを手がかりに自分で考えるんやで。1つ、2つ、自分の頭で考えられるようになったら、大儲けや思ったらええ」

「全てのことに理由を求めるようになると、なぜか? どうしてか?と物事の因果を深く考えるようになり、それを目的達成のために活用するようになるんや。そしたら最強やろ」

「『頑張りました』は敗者の戯言やいうことを忘れたらアカン。どんなに一生懸命やったとしても、結果が出ない頑張りはムダや」

「みんな、安い商品やサービスが出てくると、「価格を下げないと競争に負ける」と思いがちだが、実際にはそうではない。需要曲線が存在するということは「高い価格でもお金を払ってくれる人がいる」ということだ」

「できるだけ多くのお客さんが喜んでくれる価値を提供し、お客さんの数と価格を掛けた売上から費用を引いた利益が最大になるように、自分なりの価値と価格の組み合わせを選び出さなあかん。それが経営や」

「仕事が半人前の時は、手順を覚えることに集中する。部下ができたら、手順を教えて徹底することが大切。そして、誰もやったことのない新しい仕事を任されたら、手順を作るのだと思ってやるのがいい」

「個人でも経営でも、大切なんは数字。数字で表現したら、“アマイ”“アイマイ”というのは一気になくなる」

「『みんなでやってる感』があれば頑張れる。みんなで頑張ったら成果が出る。成果が出たらもっと頑張れる」

「経営者の資質、人間性、個人のありようというのが、どんだけ大きな組織になっても大切なんや。結局、組織は個人の人格の表現にすぎないんや」

「時代が変われば、環境も変わる。人も変わる。その変化の中で、『お客さんのためには何が一番いいんか』『自分らしいのは何か』と考え続けるんやで」

「ツイてるヤツと仕事すると自分も成功する。自分がツイてたらいい仕事がやってきて、成功し、商売は繁盛する」

「物語を理容に取り込むんや。そういったうねりを意図して作り出すと、お客さんに物語の中に溶け込んだような感覚を味わってもらえ、物語の終わりに爽快な感動を提供できる」

「ビジネスは、全体のイメージ、構想、つまりビジョンが大切なんや。結局、人間はそこに向かって進んでいくんや。明確なビジョンがスタッフ間で共有されていなければ、ビジネスはうまくいかないんや」

「経営も結局、経営者が抱くビジョンのとおりにしか具現化しない」

「『不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず』ーー本質を忘れず、かつ新しいもの取り入れながら、常に新しいものに変わり続ける。俳句に対する松尾芭蕉の理念や。不易流行のチャンスは新しい技術にある。つねに心眼を開いて好機を見つけることや」

成功パターンは、誰に聴いても、どれを読んでも、本当にみんな一緒ですね。
成功したければ、まず、「普遍の成功できる考え方」を持つ、それを腹に落とし身に付けて、そこから必ず実践することが大切です。・・・がんばります。

西新宿の理容室『ザンギリ』、近いうちに一度行ってみます。

内容は濃いけど、難しくなくわかりやすい。普段本を読みなれない方にも読みやすい良書。オススメです!

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